◆□◆燃やさない、埋め立てない、21世紀のごみ処理とは◆□◆

(1) 概要

第1回 1997年6月14日(土) 未来を奪う猛毒ダイオキシン 高橋胱正氏(元東京大学医学部講師) ・ダイオキシンはこうして人体に入る ・ダイオキシンは生殖機能を直撃する 小平市中央公民館

第2回 1997年7月12日(土) プラスチックを燃やすということ 岸浪勇氏(ダイオキシン関東ネットワーク) ・プラスチックごみの焼却で発生する有毒ガス ・ごみ焼却施設の実態 小平市福祉会館

第3回 1997年10月18日(土) ダイオキシンは北風にのって 棚橋道郎氏(「止めよう!ダイオキシン汚染」さいたま) ・くぬぎ山−所沢インター間産業廃棄物処理施設 ・高濃度ダイオキシン汚染地域と新生児死亡率 小平市中央公民館

第4回 1997年10月18日(土) 柳泉園・脱焼却の代替案づくり 青木泰氏(ごみ問題5市連絡会事務局長) ・住民の意向を無視した新焼却炉建設計画 ・脱焼却の代替案づくり 小平市中央公民館

第5回 1997年11月5日(土) 脱焼却・圧縮固形化への試み 手塚信利氏(ジャパンインチメタル椛纒\取締役) ・焼却を止め、圧縮固形化への道を ・資源化(=鉄化石)して次代に残す 小平市中央公民館

第6回 1998年3月1日(日) 

ドイツ、フライブルグ市のごみと市民生活 岩井佐代子氏(環境講座アドバイザー) ・フライブルグのごみ処理の過去と現在 ・DSDシステム確立の背景と運用状況 小平氏中央公民館

市民による意見発表 各市民(深澤洋子氏 他) ・分別・焼却・ダイオキシン〜を考える 他 小平市中央公民館

東村山市ごみ資源化90%の試みと講評 田浪正博氏(東村山市廃棄物減量等推進審議会委員・秋水園再生計画推進市民協議会委員) ・秋水園再生計画の最終提言内容 ・資源化90%の手順 小平市中央公民館

■ 学習フォーラム開催の感想

 毎回、講演の内容は熱のこもった有益な話で、企画した側として、やって良かったという達成感がありました。とはいえ、小平で企画する「ごみ講座」は、3年目(市民連邦の学習フォーラムとしての開催は2年目)ですが、参加者は平均して20名前後で、ほとんど変わらず、問題の深刻さに対し、参加者が増えないのが悩みです。場所、日時、宣伝方法等の検討の余地がありそうです。

 それから、この講座で得たものをどのように、各自治体や国のごみ対策に反映させるのかも重要な検討課題です。 (高梨孝輔 記)

 

◆□◆生ごみ◆□◆

(1)概要

第1回 1998年1月23日(金) 自治体の生ごみ処理実験状況 松村先氏(Ecoシステム研究所) ・最近話題の生ごみ処理機とは? ・機械の性能 多摩交流センター

第2回 1998年2月18日(水) 東村山市営住宅の生ごみ堆肥化施設 石橋茂氏(東村山市秋水園再生計画推進課計画係長) 富士見町市営住宅自治会役員の方々 ・市営住宅の生ごみ堆肥化装置の見学 ・市営住宅集会所で住民の方との懇談会 東村山市富士見町市営住宅内

■ 生ごみ学習フォーラム開催の意図

 「臭くて、びちゃびちゃ、汚いごみ」といった廃棄物の立場から、貴重な有機資源として市民権を得つつある「生ごみ」。それは、EMぼかしによる処理堆肥化がきっかけだったようですが、その資源化には未解決な問題も多く、「生ごみを資源に」と考える市民はまだごく一部にすぎません。

 一般廃棄物、年間5000万トンの30%を占めると言われる「生ごみ」のほとんどがまだ焼却され、今や、大気、土壌、水質汚染の問題からダイオキシン等「環境ホルモン」との関連で、生き物の生命を脅かす問題になってきています。

 ごみの減量・資源化、持続可能な循環型社会を目指して、東京都をはじめ各自治体でも、ここ数年、機械により生ごみを発酵分解し、堆肥化・飼料化する技術が進み、大手企業からベンチャー企業まで200社以上が市場参入していますが、構造、性能、価格、使われている微生物等、選択の基準となる「ものさし」がまだできていないのが現状です。

 そこで、97年度の「生ごみ学習フォーラム」は、機械による生ごみ処理をテーマに開催しました。

 

◆□◆再生紙◆□◆

(1)概要

第1回 1997年10月8日(水) 古紙の『今』を知る 後藤造成氏(東京都リサイクル事業団体連合会事務局) ・なぜ古紙余り現象、古紙価格が下がったのか ・このリサイクルの危機をどう乗り越えるのか 多摩交流センター

第2回 1997年12月12日(金) エコマークをもっと知るために 園田真見子氏(古紙問題市民行動ネットワーク事務局長) ・エコマークの基準って何 ・エコマークは誰がどんなふうに決めているのか 多摩交流センター

 

◆□◆環境教育◆□◆

(1)概要

第1回1997年11月10日(月) これからの環境教育・子供たちへのメッセージ・ 今泉みね子氏(環境ジャーナリスト) ・ドイツの環境教育について母親としての体験談 ・日本の子供たちへのメッセージ 多摩交流センター

○なんと言っても日ごろから環境への関心を持つことであり、惰性に陥らないように一歩外から見つめる努力をすべきである。住民全員が、環境知識、意識、常識、見識の「4識」を持つことがなによりも必要である。

○各州ごとにそれぞれに学習指導ができている。1971年に、連邦内閣が、市民は環境を意識した行動をとるべきであり、環境はすべての強化に優先して行うように奨励している。環境をよくすることは、市民の義務であると定義した。

1980年代には、環境は知識だけの教育に終わらずに、実地・現場に出て勉強を始めた。州の具体的な例として、環境を教育の基本のテーマとして考え、ごみを回避する日常生活の指導、省エネへの指導、交通機関について環境の配慮、環境を考えた健康な食事管理などを実施した。

○中学校と高校では、自然環境と技術を組み合わせた学習を行い、家庭科教育とはいわずに「人間と環境科教育」と言っている。学校の校庭に環境を配慮した設備を作ったり、また、学生の指導要領にも環境を定着させたりして、モデルになる学校を作って、他の学校にも奨励している。また、特定の州では、環境問題を取り入れた農園や農場を作り、市民が環境問題に親しむ場を提供している。

環境にやさしい学校にするにはどうしたらよいのかを考えて、たとえば、

・筆箱・ボールペンの材料の選択

・有機溶剤の入っていないノリの使用の奨励

・電卓もソーラーの機種にしよう

等々を考えて行動している。

先生の国家試験にも、環境の講座を取り入れたり、また、Ecology(生態学)の研修も実施している。学校と同様に環境団体が非常に信頼されている。

○環境を配慮した経費の節減の協力を呼びかけている。たとえば、

・節水に努力した学校に水道代の半分の金額をリターンバックする。

・不必要な家電を使用しなくなった→省エネの推奨

○環境に関した一覧表を作成して小冊子として配布している。また、環境団体を支援して教育の一環の手助けをしてもらう。例えば、コンポスト作り、水質検査の実施。ドイツには400〜500カ所の環境教育センターがある。

○フライブルグ市は、環境にやさしい市として選ばれた。一例を挙げれば、環境を配慮した道路作りにより交通整備が充分にできていたり、子供たちが自然に触れる設備も建造されている。

○環境の教育方法は、教師の裁量に任されている。それほどに、教師への環境教育が徹底してなされているということ。教育資料などの用紙は、再生紙の購入が当然のこととして受け止められるように教育されている。

○専門学校でも環境教育を実施している。たとえば、

・エネルギーの循環について

・ソーラー電気について→省エネタイプの設備や施設の見学

・食物の調査→輸入製品については、輸入元からの距離とそれに消費されるエネルギーとの関連、及び使用されている容器。

○講演とあわせて、スライドによる「教育の実態」も紹介されました。いろいろな環境教育の状況が写し出されました。

・環境教育は、それに関わっている人たちが一段となって実施すること。

・環境教育は、いっしょになって環境を考え、勉強して共に理解するのが、環境教育の要です。ということでした。

 まとめとして、頭脳で覚えたことは、心に刻んで環境にやさしい行動として結びつけられるように努力するべきである。また、「日常生活にて、環境問題を絶えず唱えていなければいけない」ということが、ドイツ国民のモットーだということでした。  (田中誠 記)

 

◆□◆見学会◆□◆

(1)概要

第1回 1997年7月25日(金) アサヒビール活城工場(茨城県北相馬郡守谷緑1−1−1)

 当日の10時30分、新宿駅西口・安田生命ビル富士銀行前に集合。チャーターバスにて、現地に向かう。(ただし、1名は現地参加)

 この工場は、全国8工場の内、規模(43,3万u)/年間生産量(約4億5000万本)ともに最大。昨年末から、工場から出る産業廃棄物の100%再資源化に成功している。

 社長の瀬戸雄三氏が、一昨年の年頭会見で「茨城工場を廃棄物ゼロのモデル工場に」という方針を示したときには、工場はまさに寝耳に水。その時点で、茨城工場では既にビールかすや酵母などの廃棄物の98,5%は再資源化されており、後は廃プラストックや生ごみ、王冠など、雑多で再資源化の方法が明確でない廃棄物ばかり残っているという状態であった。

 それから、まず挑戦したのが、この再資源化されていない廃棄物の正確な把握であった。環境管理担当スタッフは電話帳をめくっては再資源化を引き受けてくれる業者を探した。しかし、「分別すれば何とかなる」と感じてからは実は本当の苦労の始まりであったと前田部長は語る。

 廃プラをポリエチレンやポリプロピレンなど材料別に入れる分別回収箱を置いたところ、廃プラが山のように集まったのが、「その他」と表示した回収箱。半年近く試行錯誤した結果、編み出された品目による分別法。「ペット樹脂製バンド」「缶のデザイン用インクの容器」「ポップの容器」等々、廃プラだけで20品種に分け、回収箱に表示した。全部では111分別にもなった。ここまで細かく分けてあれば、引き取り業者も材質を特定できる。

 当初は、3ヵ所であった回収箱の設置場所は、22ヵ所に増えた。ラインの近くに回収箱を置けばすぐ入れられるし、ラインには責任者を決めて、分別を守らない従業員をチェックさせるということもやっている。やはり、われわれ市民活動を進める者たちにも参考になるのが、廃棄物の資源化に向けて廃棄物を再利用するという意識を地域で共有するような努力ということで、その積み重ねが市民運動と言うところか。

 最後に、お忙しいなか特別に時間をさいて、われわれリサイクル市民連邦の見学者に対応してくださった、エンジニアリング部長の前田宗一郎氏に感謝の意を表したいと思います。なお、参加者の皆さんにお願いしたアンケートの中にも、貴重なご意見、そして暖かい支援の言葉がありました。ありがとうございました。  (三津石源一 記)