◆□◆ごみ総論と生ごみリサイクルの課題と現状◆□◆

講師:田代雄倬((株)日本リサイクルマネジメント 代表取締役)

日時:1996年11月29日(金)

場所:多摩交流センター

要約:ごみ大国、資源小国の日本で、世の中に「ごみ」という物質は存在しません。「ごみ」と呼ばれているもの全ては、まだまだ貴重な価値を持つ資源です。徹底的な減量、分別、資源化が必要です。

 

1.ごみ処理の現状

日本のごみの年間排出量は約5,000万t(東京ドーム135杯分)で1人当たり1,100g/日となっています。ごみ減量処理率(処理処分されたごみに対する焼却、破砕、資源化等の中間処理を行ったごみの割合)は約85%です。中間処理されたごみのうち、直接焼却された割合は約75%、焼却以外の中間処理の割合(破砕、選別による資源化、堆肥化等)は約11%となっています。市町村で分別収集→中間処理により資源化された量は220t、住民などによる集団回収量は192万t、合計のリサイクル率は8%で年々向上していますが、まだ低い割合です。

・日本のごみ焼却場数……約1,900個所

・最終処分場数……………2,321個所

全国平均残余年数…8.1年

首都圏残余年数……5.0年

2.ごみ処理事業経費

市町村及び一部事務組合が一般廃棄物の処理に要した経費(収集、運搬、処分等)の合計は2兆7,404億円、国民1人当たりでは18,300円/年となります。ごみ、し尿とも処理量はそれ程増加していませんが、処理施設整備にかかる経費の高騰に伴い、処理経費は年々増加しています。

3.野木町資源化センター

堆肥化と固形燃料化

堆肥化:分別されたごみ2tの生ごみを8時間かけて堆肥1.2tにし、その後3ヶ月間熟成し堆肥にします。

固形燃料化:生ごみ以外の可燃ごみを破砕、選別、乾燥し、石灰を混入圧縮成型することで10tのごみから8tの固形燃料を得ています。熱量は4,500〜5,000kcal/kgです。

4.南砺リサイクルセンター・棒原町護美センター

固形燃料化:可燃ごみすべてをオートメーションシステムで破砕、乾燥、消石灰を加え、1.5cm×5cmのクレヨン状に成型し、500kgずつ袋につめて搬出し製紙工場などで使用しています。熱量は4,500〜5,000kcal/kgです。固形燃料化プラントは他に津久見市、御殿場市等でも行われています。

5.結び

日本では1963年に厚生省第一次五ヶ年計画が出され、「都市ごみは原則として焼却処理、不燃ごみは埋める」という基本方針により「焼却→埋立処理」が行われ、発生ごみ量の75%が焼却されてきました。日本には約1,900の焼却炉があり(ドイツ58、フランス80)、世界の焼却炉の2/3が日本にあります。循環型社会に向けて資源の有効利用、焼却埋立による環境負荷(特にダイオキシン問題)などからも、ごみを徹底的に減量、分別し、資源化に向け行政も企業も市民も努力しないと21世紀は絶望的です。

 

◆□◆最高の野菜をつくる生ごみ堆肥◆□◆

講師:鈴木浩之(三浦半島有機物再生利用組合理事)

日時:1996年12月13日(金)

場所:多摩交流センター

要約:鈴木浩之さんは、三浦大根の産地で有名な三浦半島、横須賀市長井で250名の会員とともに生ごみ堆肥利用の有機農法に取り組んでいます。「多摩にも仲間を増やしたい」と見事な大根をかかえてやってきました。夏には特産メロンを全国に出荷しています。こうした野菜をささえているのは、鈴木さんたちの生ごみ堆肥化に大きな役割を果たしている「廃棄物交換システム」です。

 

1.農業は土づくり

化学肥料や農薬の大量投入によって、農地は地力を失っています。農業はまず「土づくり」です。私も13年前までは、農薬を使っていましたが、健康被害、農薬中毒症状が現れました。まず農業従事者に被害が出ます。農薬混合の危険性もありました。上からの農薬の散布より、除草剤、土壌消毒など土の中が恐いのです。健康な土壌か不健康な土壌かどうかは、土の上に立てばすぐに分かります。いい土に立てばいい気持ちだし、悪い土に立つと気分が悪くなります。

2.土づくり・堆肥にコーヒーかす

1軒当たり1Haを耕し専業で食べています。大根、キャベツ、ブロッコリー、西爪等などを栽培し、夏にはメロンを全国に出荷します。有機物再生利用組合では、コーヒーかす、ウーロン茶かすを4t車で1005台、会員250名で土に入れました。私はコーヒーかす、ウーロン茶、糖蜜、しめじかす、EM菌などで自分で堆肥を作ります。賞味期限切れのお菓子も、糖分やバターがたっぷりなのでハイカロリーな堆肥になります。「ごみ処理してやろう」などとお金を請求する人は仲間に入れません。中国産の塩も畑に入れます。昔はカジメ(海藻)を堆肥にしていましたし、ねこぶは虫の天敵です。昔の人は体験からくる豊富な知恵を持っていました。

3.廃棄物交換システム

有機食品廃棄物の利用については、神奈川県が中心となり、横浜市、川崎市、横須賀市、商工会議所・商工会などが廃棄物の登録、あっ旋仲介する「廃棄物交換システム」が大きな役割を果たしています。このシステムは事業所から発生する廃棄物の情報を集め、事業所に提供し、事業所が希望する廃棄物をあっ旋することにより、廃棄物の再利用を促進しようとするものです。堆肥づくりには科学的知識や技術が必要です。このシステムは必要な廃棄物を得られるだけでなく、登録会員の意識が高いから、知識、技術、実践に役立つ情報が得られるのです。コーヒーかすもウーロン茶かすも、野積みしたままでは虫がつきかびが生え、堆肥になりません。会員間の研修、土壌分析情報交換がないと、農業は伸びていきません。

4.最高の野菜には良質な堆肥

死んだ土を生き返らせる力があるのは、良質の堆肥だと思います。雨が降らなくても、堆肥の入っている土は保水性があり地割れしません。大雨でも、化学肥料だけの土は流れてしまいますが、堆肥の入った土は流れません。ふかふかと温かい。生ごみ堆肥は土を生き返らせ、最高の野菜を作りだします。

ただし、ガラスや重金属が生ごみに入っていると致命的です。生産者と消費者に顔の見える信頼関係がないと生ごみはいいかげんには使えない面があります。

宮崎啓子レポーターから一言

「廃棄物交換システム」をリサイクル市民連邦の呼びかけで実現したい!! 生ごみ学習フォーラムの来年度の課題だと思います。

 

◆□◆生ごみのリサイクル…行政の先進的取り組み◆□◆

講師:堀井忠(国分寺市清掃センター) ・ 大久保幸蔵(狛江市企画財政部事務管理課)

日時:1997年1月18日(土)

場所:多摩交流センター

要約:国分寺市は、堆肥化容器をメーカーと協力して開発し、いいものにしていくために市民の声も聞き、何回も改良を重ねています。また、狛江市は、多摩地域で初めてEMぼかしでモニター制度を発足させました。

 

1.国分寺市とメーカーの協力による「コンポプランター」の開発

生ごみはすぐに腐敗するやっかいなもの、早く収集して処理して欲しいというのが住民感情です。生ごみをリサイクルするとなれば、行政としては生ごみを主体として回収せざるを得ませんし、生ごみをリサイクルする仕組みには実際のところありません。そのために、生ごみのリサイクル意識が芽生えにくいのです。

コンポスターは「開かずの扉」と言えます(笑い!)。つまり、悪臭と虫の発生のためにコンポスターの普及には限界があります。

8種類の容器で生ごみの堆肥化を実験し、私の家の庭でも2種類の容器で実験してみました。行政の担当者が深く把握し、家庭人として生ごみに向かい合う。こんなことから悪臭、虫の発生のメカニズムを知ることができるんですね。

そして、こうした実験の中から、「コンポプランター」の開発に乗り出しました。4年間で876基の普及実績、65%の成功率、平成10年に75%の成功率を目指しています。買ってもらった方には年4回集まっていただき、事例発表やメーカーの説明を受け、これまで12回開催し、のべ500人が参加しました。

5回ほどの改良を重ね、発酵・分解の速度をどう早めるか、虫の発生をどう抑えるかなどを研究しました。もっともっと研究し、成功、失敗を積み重ね、成功率を大切にしたいと思っています。「のんびりやった方が結局は一番の近道」なんです。

2.狛江市のEMぼかしモニター制度

ビン・缶リサイクルセンター建設に伴う市民とのトラブルがありましたが、結局は市民との対話という貴重な財産を残すことができました。その流れの中で「狛江市ごみ半減推進検討委員会」が平成5年10月に発足し、今後10年かけて狛江市のごみを半減させるということで、生ごみについてはEMぼかしを使ってのモニター制度が始まりました。

密閉容器を2個無償貸与し、平成8年度までに550世帯に普及しています。コンスタントに年間通して実践している家庭は50%くらいですが、夏場など時々休む人も含めれば80%くらいに定着していると考えられます。

モニター終了後、交流できる組織として「プチトマトの会」を発足させ、その会は相談、アンケート活動、会報発行などを受け持ち、行政は生ごみの堆肥化の推進と双方が分担しあっています。毎月1回定例の「生ごみ堆肥化相談会」では、毎回多くの質問が出てなかなか好評です。

会田節子レポーターから一言

講演を聞き終って強く感じたことは、担当者の熱い想いが伝わってきたことです。ごみを減らしたい、その中で生ごみはどうするということの取り組みに希薄を感じました。市民の巻き込み方も上手です。

 

◆□◆生ごみ処理の新技術の見学会◆□◆

見学先:鹿島建設(株)技術研究所

日時:1997年1月24日(金)

場所:多摩交流センター

要約:生ごみ処理についてコンポスト、消滅型などいろいろ開発されていますが、コンポストの使用先などまだまだ市場が形成されていない問題点が多くあります。そこで、新たに鹿島建設で開発された生ごみの高温メタン発酵装置、生ごみ分別機、生ごみ乾燥機の見学を行いました。

 

1.生ごみの高温メタン発酵技術

集合住宅、ホテル、レストラン、食品工場などから毎日排出される生ごみ。これをメタン発酵処理し、水とエネルギーに生まれ変わらせて再利用しようという高効率・省エネルギー・省スペースの画期的なシステムが開発されました。

このシステムの主な装置は、生ごみを細く砕く「破砕機」、バクテリアが付着するための坦体の入っている「高温メタンバイオリアクター」、浸漬膜を内蔵した「活性汚泥処理槽」「エネルギー化設備」で構成されています。まず生ごみの流動性をよくするため同量の水で薄めたあと破砕し、高温メタン発酵処理を行います。生ごみはここでバイオガス(メタンガスと炭酸ガスの混合ガス)と水に分解されます。その後未分解の有機物を活性汚泥槽で処理し、浸漬膜でろ過します。この間の処理日数はわずか10日間。汚れの指数であるT−CODを99%以上除去できます。普通生ごみを焼却するためにはエネルギーを消費しますが、このシステムではエネルギーを得ることが出来ます。物質収支のシミュレーションを行った結果、1世帯当たりの生ごみは1kg/日、厨房排水は300gであることが確認されました。このシステムを使って生ごみと排水を処理した場合、300gの中水と686kcalのメタンガスを得ることが出来ます。膜ろ過処理後の処理水は無色透明で無臭であり、中水としてトイレの排水や洗車に十分利用出来ます。また、メタンガスは浴場、温水プールなどのエネルギーとして再利用出来ます。メタン発酵を利用したこと生ごみ処理技術は、環境にやさしい、省エネルギー型の処理方法であるといえます。膜ろ過装置を活性汚泥槽に組み込むことによって活性濃度を上げ、余剰汚泥の大幅な低減や、省スペース化を図ることが出来ます。

2.生ごみの分別機

生ごみを処理する上で一番難しいのが異物の分別であり、特に賞味期限切れのめん類が処理で困っています。分別機は生ごみを水と一緒に超高圧処理し細胞分解させ、分解したごみは微粒子状となります。生ごみの99%以上が水溶化あるいはペースト状で抽出でき、残粒子はごくわずか。手を汚さず自動処理できますので常に清潔な状態が維持できます。生ごみの中の金属等が混入した場合でも異物を自動的に選別しごみ分解処理後払い出します。1回の処理容積2g/48秒という速さで連続処理が出来ます。

3.生ごみの乾燥機

従来の乾燥システムでは、加熱乾燥、真空乾燥などの方法がありますが、乾燥後の熱を大気中に捨てていました。

新技術では乾燥により発生した水蒸気を回収して、圧縮機で昇温後液化させることによって水蒸気の持つ莫大な潜熱を回収し再び廃棄物の加熱に再利用します。気密容器に水を含んだ廃棄物を入れ90℃程度に予熱します。この状態で水蒸気圧縮機を運転すると容器内は約0.7気圧程度に減圧され、廃棄物中の水分は約90℃で沸騰を始めます。この水蒸気を圧縮して約1.1気圧程度に圧力を上げて水蒸気凝縮器(廃棄物加熱器)に送ると今度は103℃で液化します。この際大きな凝縮潜熱を発生しますが、この熱が廃棄物中の水分の蒸発に使われます。水蒸気凝縮器で液化した水は、圧力が大気圧よりも高いため、スチームトラップから自動的に排出されます。なお温度と圧力は一例で、これとは異なった条件で運転することも可能です。エネルギー効率は石油燃料、電気ヒーターなどによる加熱方式の5倍です。水分の除去により排出量が低減するため外部処理委託費が大幅に低減し、設置スペースが少なく、バーナーや排気筒、冷却塔が不要なため設置工事が簡単で、生ごみ腐敗防止用の冷蔵庫が不用です。また、夜間の割引電力をシステムの運転に使うことが可能です。

松村先レポーターから一言

この生ごみの乾燥は廃棄物の最終的な処理ではなくリサイクルの出発点であります。汚泥や生ごみに適用すれば、コンポスト化の出発点と言えます。

 

◆□◆三多摩における様々な生ごみリサイクルの取り組み◆□◆

講師:水野彰司(スーパーよしや常務取締役) ・ 善家裕子(武蔵村山市議会議員)

日時:1997年2月15日(土)

場所:多摩交流センター

要約:「スーパーよしや」は、発泡トレー、牛乳パック、びん缶、油などのリサイクルに先進的に取り組んできました。新たに有機野菜の生産者団体と相互乗り入れ協力して、自社内で生ごみの堆肥化に取り組んでいます。また、善家さんは阪神大震災の仮設住宅へ生ごみ堆肥を送ったり、福祉施設や学校の給食、コンビニの生ごみ調査など福祉、教育、ごみ分野で独自の活躍を広げています。

 

<水野さんの報告>

1.有機野菜生産団体とスーパーの連携

有機栽培野菜をよしやに提供している生産者団体「生命の応援団」から「有機栽培の堆肥材料として、スーパーから出る生ごみ(野菜切りくず-輸送中の破損を防ぐ絶ぐため、外側の食べられない部分もつけて配送する-、賞味期限切れの商品、魚、肉などのくず)を受け入れたい」という提案がありました。

提案を受けて社内で検討した結果、「企業責任としてやるべき」と決定し、1996年3月から実験を開始しました。分別された約1t/日の生ごみ(野菜くず0.7t、とうふその他0.3t)の半量500kgを処理しています。まず、都内11店舗から自社の配送トラックの帰り便で分別されたごみを物流センターに集めます。可燃ごみは焼却炉で焼却し、焼却熱は給湯、生ごみ乾燥に利用しています。生ごみは破砕脱水して処理機に入れ、約6分の1に減量し、「生命の応援団」の帰り便で茨城県下妻の堆肥プラントで堆肥にします。その堆肥からできた有機野菜をスーパーよしやに運ぶシステムになっています。問題点としては、処理のための人件費と機械のリース料その他のコスト面です。

2.参加者からの意見

「有機農業団体で補助金を申請し、物流センターにその機械を置かせてもらうというような方法が取れるのではないか」「乾燥機、破砕機などはメーカー努力でずいぶん安くなってきているから、ぜひ先進的成功例になるようがんばって欲しい」などの意見が出されました。

<善家さんの報告>

1.緑化、福祉、教育すべてを生ごみリサイクルで関連づける

社会活動は福祉の面から出発しましたが、ここ3年、ごみ問題、特に生ごみ処理問題中心に関わっています。ごみ問題の間口は広く、根は深くなっています。

多摩地区は老人保健施設が多いし、今後ますます増える傾向にあります。施設から排出される生ごみが1人1日1kgの所もあります。規定量をお年寄りに食べさせなければならない結果がこういう量になります。市民のごみに対する意識はまだまだ低いものがあり、市民全体での生ごみ分別は、現段階では難しいと思われます。そこでまず、施設、学校、公的機関の生ごみから資源化を始めたいと思いました。

園芸療法といって、草花の世話で人間の精神、身体機能を回復させる試みが始まっています。施設から排出される大量の生ごみを堆肥化し、施設の庭園に使うのです。近年、土地がなくても屋上緑化というのもあります。ボランティアで市民、学生も参加するしくみを作れば、緑化、福祉、教育、すべてが生ごみリサイクルに関連づけられるでしょう。

学校給食の残飯堆肥化は、北区では平成5年度から始められ、すでに平成8年11月までに小学校44校、中学校20校に処理機の導入が完了しています。処理機の設置により、重量、容量ともに7分の1に生ごみは減量され成果をあげています。減量でごみ処理費、処理場への負荷も軽減します。

教育的効果も生活の変化として報告されています。

・ごみに対する意識が高まり残菜が減る

・食べ物の大切さ、栄養摂取の教育

・堆肥を使って草花を育て観察する

・調理担当者の意識が変わり、処理可能物として残菜を大切にするようになる etc...

現場のたて割りをやめ、生ごみリサイクルを学校、役所、市民が一体となって進めていきたいものです。

ごみの減量、市民の負担の公平のためにも、ごみ処理は有料化すべきだと思います。多摩地域の廃棄物処理手数料一覧表を参考にしてください。

ごみ運動をしながら、最終処分場問題に関わらないのか?と言われることもありますが、いろいろな関わり方があると思います。武蔵村山市議会は「谷戸沢処分場の汚水漏れ調査と安全対策を求める意見書」を提出しています。「処分組合の一組合員である自治体が自ら組合に対して声を出すのはおかしい。」という声があり、出されることが少なかったのです。

今、目の前の問題解決と、次世代への責任を思う時、何をどうしなければならないのか揺れ動きながらつき進んでいます。

宮崎啓子レポーターから一言

市民連邦の会員でもある山川記者(東京新聞)からスーパーよしやさんの情報が届いたので、早速担当の水野常務に講師をお願いしました。善家さんはコンビニでも賞味期限の古いものから買うとのことで「これも貴重な食料をごみにしない一つの方策」です。

 

◆□◆発酵菌クイック(内城菌)によるゴミラックシステム ◆□◆

講師:浅見強((株)シーラックコーポレーション)

日時:1997年2月20日(木)

場所:バス車中

要約:「ゴミラックの生成物であるシ・アースラック中に混合している多数種の土壌菌は、家畜の飼料として用いる場合家畜の健康増進と飼育の向上、改善の貢献します。また土壌菌の効用で地力の強い沃えた畑土づくりに大きく寄与します。これは発酵菌クイック(内城菌)の力が強大で有機物の発酵、分解力が抜群であることに起因します。

 

1.有機野菜生産団体とスーパーの連携

私達はなぜ有機農法、無農薬農業を求めるのか、それは健康でありたいから健康な作物が欲しいからです。有機物を最大限に生かした堆肥を用い、病害虫の発生しにくい健康な作物が栽培できる安定な土壌環境づくりが求まられています。

私達は有機農法に土壌菌の効力を取り入れて地力を高めた畑づくりを土壌菌農法と呼んでいます。ゴミラックシステムで用いる発酵菌クイック(内城菌)は、好気性のバチルス(バクテリア)を主体とする複数種の土壌菌で、30年にわたり継代培養され内城菌畜産農法として利用され今日にいたっています。有機物残さに発酵菌クイック(内城菌)を加えてゴミラック中で発酵処理しできた生成物(シ・アースラック)は、有機質が分解され土壌菌が増殖代謝している中熟状態の菌体飼料でありまた菌体肥料でもあります。

この生成物(シ・アースラック)を家畜に給餌しその糞と混ぜ合わせ通気して後熟させる。これを畑づくりの堆肥とする一連のリサイクルが内城菌畜産農法であり、ゴミラックシステムです。

土壌菌混合の飼料は、家畜の腸内細菌の安定と消化吸収率の向上に役立ち家畜の健康増進、飼育畜産物の品質向上が計れます。シ・アースラック中、またこれを給餌した家畜の糞の中には多数種の土壌菌が含まれておりこれらを堆肥化して畑に施肥すると土壌中の微生物が増え畑土としての有用バランスが保たれるようになります。発酵菌クイックに含まれている複数種の土壌菌のすべてを分析、同定することは不可能ですが、一部は次のように解析されています。

好気性芽胞菌 (中温性、高温性)

放線菌 (中温性、高温性)

カビ (中温性)

乳酸・酵母

 

◆□◆戸田たまご村 見学会◆□◆

見学先:西伊豆 戸田たまご村

日時:1997年2月20日(木)AM9:30〜

場所:バス車中

要約:西伊豆戸田の山を背に、伊豆の海を眼下に一望し、あふれる陽の光、澄み切った空気、遠磨山の湧き水、ふかふかの大地、ここに2,000羽のブラウン系の鶏が放し飼いにされています。

 

1.事務所で摂れたての翠玉卵(エメラルドの卵、有性卵)をごちそうになる

ここの卵はお箸で持ち上げてもつぶれないし味が濃い。

三鷹市の杏林大学病院の残飯、調理くずを高温発酵、飼料化したものと、

鶏ふんと堆肥を土に入れ、無農薬栽培された有機野菜、野草を餌にして、

遠磨山の湧き水「銀名水」を飲んで育つ健康鶏たち。

ここは、まさに鶏たちの天国です。

2. 備え付けのゴム長靴にはきかえ、相馬さん(経営者)の案内で畑や山を廻る

一帯はみかん畑、山腹を切り開いてぶどう畑もあります。植えて4年目ということですが、甲州の地元の6年物ぐらいに育っているとのこと、味も本物甲州ものよりもずっとおいしいとのこと。

鶏ふんと有機堆肥をたっぷりと入れた土はふかふかと柔らかく、保水性もあり、乾いたコンクリート道路ばかりを歩いている私達には久々に味わう土の感触でした。

鶏舎も堆肥小屋も不思議に悪臭がありません。

杏林大学病院の高速発酵処理機の生成物を鶏の餌に混ぜると、ふんのにおいが激減し、ふんの堆肥化が早いとのこと。

採卵期間の長期化、健康度の向上と死亡率の低下、免疫機能の向上により、抗生物質の使用量の減少、0化などの効果があるとのこと。

3. バブル後の産業界の柱をどうするか 福祉、半導体、環境、リサイクル産業などがさまざまな手法で事業に参入してきていますが、情報の多さが混乱を招き、情報を整理する“情報”が必要になっています。

資源化されたものの安全性や環境への影響などを証明するにはエネルギー、コスト、時間がかかります。メーカーは生成物に対する正確な知識と責任をもたなければならないし、国は市民参加で安全性、効果の基準を早急に定めなければいけません。

今年のバス見学会は、行き先が二転三転した末、この「戸田たまご村」になりました。金鶏、鳥骨鶏(うこっけい)もいます。ウサギ小屋もあります。ウサギがいると鶏を襲うイタチが寄りつかないのです。イタチはウサギの尿のにおいが大嫌いだそうです。

 

◆□◆機械による生ごみ処理システム◆□◆

講師:浅見強((株)シーラックコーポレーション) ・ 松村先((株)ニュークリエート商事)

日時:1997年3月15日(土)

場所:バス車中

要約:生ごみ処理機に補助金を出す自治体が増えてきました。大小200を越える企業がひしめき合っている生ごみ処理機械市場です。生ごみ消滅型、発酵分解型、乾燥型、電動、手動etc...選択の基準はどこにあるのでしょうか。

 

1.浅見氏からの提案

最近は、循環型社会を目指して「資源化」「リサイクル」の大合唱となっていますが、生ごみは水分が多く腐りやすい上、種々雑多なものがまじり合っているので、なかなか資源化が進んでいません。

しかし、資源も少なく、食料の自給率が低く、動物の飼料も輸入に頼っている我が国にとって、生ごみの資源化は環境汚染問題との関連もあり、重量な問題です。

T.生ごみの資源化、リサイクルの条件

絶対に「安全」なものであること。使用されている“菌”の安全性と同様に“生成物”の安全性が確保されていること(発酵時に70℃以上の温度域を必ずおくこと)。

“生成物”の品質が分かっていなければならないこと。分解の程度、その特徴、使い方など。

問題のある材料、または少しでも心配の残る材料は絶対に対象にしてはならないこと。特に重金属、薬物など。

U.“生ごみ”という呼び方を変えよう−意識変革−

生ごみと決めつけてしまうと燃やす、埋めるに直結します。分別が徹底してくれば“ごみ”でなく“資源の元”になるし、していかなければなりません。皆で“生ごみ”の呼び名を変えることを考えましょう。

V.資源化は常に“環境”と“安全”の問題が同時に解決されなければならない

W.生成物の使用者は、第一に「経済性」を優先する。常にそれに応えられるものでなければならない

X.装置使用者は「減容型」か「資源化型」かを明確に認識して機種選択を行わなければならない

Y.市民運動の中から、早急に“一つのモノサシ”を期待したい

私としては、資源化された生成物が、農家で3年以上使用され続けた実績を持って初めて「資源化品」が評価され認知されたと受け止めるべきであると考えています。

Z.当社の考え方

・生ごみ→飼料→動物の腸経由→畜ふん(発酵)→土壌

2.松村氏からの提案

生ごみを資源として発酵分解、堆肥化、飼料化したり、減容のため消滅、乾燥する技術が開発され、大手企業からベンチャー企業まで200社以上が生ごみ処理機を発売しています。

生ごみ処理の原則は、数万種類の好気性、嫌気性の発酵菌の中から目的に合わせて菌の複合体(20〜25種)を作ることです。生成処理をする自然の発酵分解作用を、温度、湿度、ph、酸素量などを調整することで大幅に短縮することが出来ます。

家庭用としては、消滅型が普及し、消滅型の中でも手動式は留守したりして休むと虫が発生するので、電動型が増えています。生ごみ処理機が普及するためには、機械の操作が簡単であることや、連続投入が可能であること、価格、経費が安いことなどが必要条件です。

価格の面では、従来12〜13万円が主流だったのに対し、今年は6〜7万円台が出始め、例えば、S社は従来価格128,000円を機能は落とさず、メーカー努力によって68,000円台に下げるなど求めやすくなってきています。自治体の補助は、多摩地域では青梅市の5万円が最高で2〜3万円の市が多くなっています。

問題は、生ごみ処理機メーカーの多くがベンチャー企業であることです。生ごみ処理機市場に参入している200社が、今後どのくらい生き残ることができるか、アフターサービス(ケアー)の体制は整っているか、堆肥型が大量に普及した場合の生成品の処理システムができるか、この処理機自体のリサイクルはどうなるのか、それに消滅型といえども無機質分はたまるがその処理方法はどうなるのか、その他菌の世代交代、免疫性、菌の情報開示など実績が多くないだけに、今後新たな問題がでてくることが懸念されます。

宮崎啓子レポーターから一言

今年度GOMI学習フォーラム生ごみ編の皆勤賞の中島亮君は筑波大学の学生です。卒論のテーマが“生ごみ”の由。学生時代からごみのパッカー車に乗り込んだ市民連邦代表寄本先生についでごみ博士が生まれるかもしれません。ごみを考える行政、研究者、企業、市民の交流の場“学習フォーラム”を発展的に継続していきたいと思います。