◆□◆日の出の森・最終処分場◆□◆

講師:田島喜代恵(日の出の森・水・命の会)

日時:1995/11/11

場所:日の出町谷戸沢・谷古入地域

 

 谷戸沢処分場には26市1町の住民から出されている不燃ごみと焼却灰が運びこまれています。毎日のごみの搬入量は10tトラック100台以上におよびます。処分場の広さはおよそ東京ドーム」の5つ分で、第1次、第2次の埋め立てはすでに終了し、現在は第3次埋め立ての最中です。

 地面にはいくつものガス抜き管があり、メタンなどを排出しているために、跡地の利用は難しい。土地があまりにも広大であるため、またごみに土がかけられるために、表面的にごみは少量に見えてしまうが、実際は膨大な量のごみが埋まっています。それらは永久にこの地に残ることになります。また、周囲の森にはカラスが処分場から運んできたマヨネーズの容器などが散乱している状況です。

 そして一番問題とされているのは、谷戸沢処分場の底に敷かれているゴムシートが破れ、ごみに含まれうる有害物質が土壌や地下水を汚染し始めている疑いです。

 谷古入の森は「オオタカ」「サンショウウオ」などの貴重な生き物が制素行しています。また、水神様が祀られていることからも分かるように水が豊富です。さらに東京ではめずらしくなってしまった自然林が残されています。まsに自然環境に恵まれているというわけです。そこで田島さんたちは、その自然を親しんでもうおうと、この森の一角に野外ステージも組み、自然の恵みを楽しめる場所づくりも行っています。

 「幻の第2処分場の建設(田島さんたちはこう呼んでいます)なんとしても食い止めなくてはならない」と田島さんは熱く語ってくれました。そこには、田島さんの心から日の出の自然を愛する気持ちと全国の住民運動の先頭に立っているという責任感が伺われました。そして、「第2処分場については計画の白紙撤回」を掲げています。

 第2処分場の計画は現在進められていますが、これを現実に「幻の第2処分場」にするためには、私たちは、まず、ごみ問題を中心にそこから見えてくる日の出の森もような自然環境の悪化の問題や、そもそもごみがなぜ生まれるのかという社会システムの問題にまで視野を広げる必要があります。私たち1人1人がごみを出している当事者としての責任があり、それを担うにはそれ相当の負担を負う覚悟で問題解決にあたらなければなりません。焼却し埋め立てる方法からごみの保管庫構想へ変えていくとなれば、まさに、しっかりとしたごみに対する責任感と負担の認識が欠かせないでしょう。

 今回の見学会には、「大学のゼミ活動でごみ問題を扱っている友人から誘われた」人、「卒業論文に役立てられればと思って」参加した人、「最近ごみのことが気になり始めた」人などが多く参加しており、これからの日常生活でごみと接するさいに重要な問題認識を持つことができたようです。また、今後10数回にわたって行われる「GOMI学習フォーラム」に向けてもよき問題提起になったと思います。

(文責:杉田 綾子)

 

◆□◆生ごみの堆肥化・可燃ごみの固形燃料化◆□◆

講師:滝本 公成(鞄本リサイクルマネジメント社長)

日時:1995/11/11

場所:多摩交流センター

 

 官庁は実績主義で、なかなか新しいものに取り組みませんが、発想を転換し新しいシステムを構築しなければ、ごみ問題の解決はできません。

 ごみ処理問題は、環境・資源対策上早急な解決が求められている世界共通の難問です。日本の家庭から毎日出るごみの量は約14万t。国民一人当たり、役1kg排出している計算になります。廃棄物は「ごみ」ではなく、貴重な「資源」という観点に立ち、固形燃料化、堆肥化などの資源化で新しい社会システムづくりを重視していきたいものです。

■各地の取り組み

●野木町−生ごみの分別の徹底。可燃ごみの95%が堆肥化、固形燃料化されています。

<堆肥>水はけ水持ちをよくし、土ややわらかくなり地温を保ち、窒素の蓄積リンの有効化が見られます。土壌動物が豊富になり、効果は抜粋です。

<固形燃料>4,000〜5,000kcal/kg,20tのごみから10tの固形燃料となります。焼却の際、公害基準を満たすよう塩化水素を中和させるために消石灰を入れます。野木町健康センターに熱源、他府県に販売しています。

●富山県砺波地域−生ごみを含む可燃ごみを固形燃料化(国庫補助対象事業)。清掃センター、特別老人ホームなどのボイラー燃料として消費しています。

●島根県出雲市−IZUMOBIL方式(ごみ焼却場のいらない車載型のごみ処理リサイクルシステム)

 固形燃料システムのメリットは水分90%の生ごみも一緒に燃やす焼却方式と違い、ごみを細かく破砕して混合し固めているので、均質で焼却コントロールが容易な点です。有害物質、悪臭、汚水などによる環境悪化が少なく、建設コスト、運用コストが安くつきます。

 資源化の技術は、3ヶ月に一段階アップするといわれるくらい日進月歩しています。洋上の船上での資源化も夢ではありません。リサイクルはまさに「利再来」なのです。

(文責:宮崎 啓子)

 

◆□◆生ごみの堆肥化と農家への供給体制◆□◆

講師:児玉 守(有機土壌且ミ長)

日時:1995/12/2

場所:府中市女性センター

 

 生ごみの家庭での堆肥化は、市民活動として大きな広がりを見せています。それに対して、行政側でもEMボカシやボカシ作成用のバケツなどを無料配布したり、半額補助で提供したりする自治体が増えています。

 しかし、この活動は庭や家庭菜園のある人に限られ、多くの自治体の場合「作った生ごみは堆肥の供給先がない」という紋切り型の対応で終始し、行政単位で生ごみの堆肥化に取り組むことはほとんどの場合後ろ向きでした。

 しかし現在焼却処理しているごみは3割は生ごみで、焼却残さは全焼却量の7分の1です。焼却灰が7分の1も残ることの要員として、水分が90%の生ごみがあることを考えると「日の出」にごみを持ち込まないためにも、生ごみの資源化利用=堆肥化は、行政にとって緊急不可欠の課題でした。

 そんな時、千葉県の習志野市環境センターで廃棄物業を行っていた児玉氏は、ものが無造作に捨てられているのに心を痛め、生ごみの堆肥化事業に取り組みました。

 習志野環境センターで試行錯誤の結果確立したシステムは、

1.学校給食センターから給食の残飯をもらい受ける(その他、生協などからも野菜くずや魚のあらなど)。

2.約300坪の土地に500kg用のコンポストを約100個用意し、その中にごみを投入、EMボカシをふりかけ、約1ヶ月置くと、かさが半分に。

3.それに水分調節財として、もらい受けたおからやコーヒーかす、ウーロン茶のかすなどを混入し、さらに1ヶ月野積みにし完全発酵させる。

4.会員システムで、堆肥を農家に配り、その有機作物をスーパーや生協に供給する。

 数年にわたる試みの結果、さらに大規模に堆肥を作る会社を作ってしまいました。それが有機土壌株式会社です。

 行政が「生ごみを堆肥化しても供給先がない」と立ち止まっているのに対し、生ごみ堆肥を使った勇気野菜の供給先を開拓し、農家に生ごみ堆肥を使ってもらうシステムを作り上げた発想の柔軟性、先進性と行動力。そして、そのまま捨てられて燃やされたりしているおから、ウーロン茶、コーヒーかすなどを水分調整材として使い、資源化のために余分なエネルギーは使わないという原則性。行政にも見習ってほしい姿勢です。

 生ごみ堆肥を扱い、有機野菜を食べることで「手はすべすべ、体力は10歳は若い自信がある」とエネルギーにあふれる児玉氏のお話しでした。

(文責:青木 泰)

 

◆□◆平塚市における家庭での堆肥化生ごみの収集システムと市民農園◆□◆

講師:久保田 剛(平塚EMクラブ)・向井 友彦(平塚EMクラブ)

日時:1996/1/13

場所:多摩交流センター

 

 堆肥化(生ごみからの)の取り組みの上で、平塚市方式の占める位置は大きい。直接堆肥化生ごみを埋める土・庭を持たないマンション世帯を対象にし、バケツに生ごみを分別してもらいそれを収集するシステムを、行政のモデル事業として取り組みました。

 これに先立ち、講師としてきていただいた久保田氏、向井氏ら市民グループが直接農家とかけ合って、まず、生ごみ堆肥実験農園を確保しました。その上で、行政にモデル事業化をすすめ、より大きいバケツで集めた生ごみをEMボカシで醗酵熟成させ、その生ごみ堆肥と化成肥料との比率をみる実験を行いました。

■経過と現状

 この取り組みは1992年、岐阜県可児市が生ごみ処理にEM菌を活用した処理方式を実施していることを知ったことに始まります。ごみ減量化婦人の会26名で実験を始め、その後自治会単位に回収を前提としたモニター依頼をしました。

<1993年1月>「生ごみのボカシあえ」による生ごみの減量化、資源化推進事業要網を制定しモニターを募集。モニターには密閉容器2個とボカシを市で貸与しました。

<4月>週に1回、職員2〜3名が対応して堆肥回収が始まりました。市でボカシを制作。モニターの久保田氏より「農業実験の協力依頼」があり、市の担当職員との間に土地使用貸借契約を凍結。生ごみリサイクル試験農業360坪に回収した生ごみを搬入。

<7月>モニター代表と市の懇談会が開催され、平塚EMクラブが発足。

<1994年>理解ある農家ののうちに臨時堆肥の投入を開始。

<その後>容器の取り扱い、回収方法、回収後の堆肥の取り扱い、実験農園、収穫物の管理などに試行錯誤を重ねました。

 生ごみをそのまま出すと、酸化腐敗が進み、後から発酵させようとしてもうまくいかないことがあるなど、実際にやってみないと分からないことをつかみました。ここでの方式は長野県駒ヶ根市の各家庭ではEMボカシで生ごみを嫌気発酵させ、それを回収し、行政の堆肥化センターで好気発酵させるシステムとして受け継がれています。

 平塚市の現状は、集めた生ごみを(1)粉砕(2)ボカシを混入、水分調整し、(3)ペレット化。それをビニールの袋に入れ、完熟発酵させる試作機を用い、次段階への歩みを進めています。和光市なども、この平塚と同じ方式で生ごみの堆肥化のモデル実験に入っています。

 

◆□◆生ごみの堆肥化−市民、企業による様々な試み−◆□◆

講師:只野 哲男(みさと生きがいファーム)・小野寺 和男(潟Iーケー企画研究所)・松村 先(ニュークリエート商事梶j

日時:1996/2/3

場所:多摩交流センター

 

<T>50歳で銀行を脱サラ。土を生き返らせ地元の人と循環型社会をめざしている有機農業の只野哲男氏。

 1.基本はまず土づくり。土壌消毒剤、科学合成肥料、除草剤はいっさい使わず、堆肥と微生物の働きで生きた土壌を作ります。

 2.病中防除には自然界にある殺菌作用のある資材(ウコン、唐辛子、にんにくなど)を使い、防虫ネットを張ります。センチュウ(線虫)防除を使います。

 3.旬の有機野菜「天の恵みおまかせセット」、「有機無農薬米」、超美味「デコポン」などを供給販売しています。

<U>小野寺和男氏

 生ごみ収集車がごみ処理工場になりました。

 車載型発酵回転ドラム生ごみ処理機をトラックに載せ、走りながら2,5〜3時間で堆肥化しそのまま農場へ運びます。現場で熟成させると、発酵後3週間で完熟堆肥になります。

 4〜6月ごろには家庭用生ごみ処理機を4万円台で発売予定です。

<V>「私たちのまちから生ごみを100%出さない会」の近藤吉男氏は、高速発酵処理機で生ごみを堆肥にしています。

 1994年から70世帯300人の生ごみを収集し、高速処理発酵システムで71時間かけて堆肥化にしています。もとの10分の1以下の減量して畑に入れています。

 農家や家庭菜園でテスト、現在は年間20tを収集していますが、目標は年間100t。

 92年度の都のごみ処理費は、キロあたり45円、家庭ごみの30%を占める生ごみを堆肥化できれば、ごみの30%減となります。「この運動を是非全国で広めていきたい」と語ってくれました。

<W>斉藤親男氏

 住重STKバイオ部では、米ぬか、コーヒーかす、糖蜜などにMSK「EM菌」を添加し、ボカシづくりを「田無さくら園(心身障害者作業所)」と手を組んで行っています。「アースディin田無」のフリーマーケットにも袋詰め販売をさくら園が担当する予定です。また、住重では社員食堂などの残飯もボカシで処理し、生ごみをいっさい外部に出していません。液肥は川の水質浄化にも実験的に使っています。

(文責:宮崎 啓子)

 

◆□◆生ごみの固形燃料化プラント◆□◆

講師:芦澤 孝治(御殿場市小山町広域行政組合事務局長)

日時:1996/3/2

場所:多摩交流センター

 

 広域行政組合では、老朽化が進む清掃センター(90t/月…昭和43年建設、60t/月…昭和51年建設の焼却炉)の建て替えを検討しはじめ、平成元年1月、ごみ焼却場の新設を決定しました。

 ところが、そのころから新しいごみ処理技術がつぎつぎと紹介され、市長が「安くて低公害のごみ処理方法」の新聞を持ってきました。スイスでは、ごみを燃料にする技術が実用化され、平成3年には、「日本の大手5社がスイス・カトレル方式のごみ処理技術のライセンス導入」の新聞報道がありました。

 平成4年1月、組合職員3名でスイスのカトレルプラントなどを視察。

 4年3月、広域行政組合議会のごみ焼却場建設検討委員会でスイスを視察

 以来、委員会開催28回、先進地視察30回、関係区民の視察4回と調査検討。

 平成6年3月、固形燃料化方式を決定。

 第一期工事開始、平成7年10月16日〜10年3月20日

 固形燃料の火力は低質の木炭なみで、3,500〜4,000kcal/1kg。添加剤の効果やフィルターで公害除去、臭気もなく安全です

 灰は市で引き取り埋め立てられますが、いずれ道路舗装材や建設資材に利用されるでしょう。一番想定される販路は、エネルギー消費量の多い民間事業所や公共施設での利用です。

 また、固形燃料化施設のボイラーにも使用します。この事業も国庫補助を受け、事業費80億円中12億円が補助金です。この規模の焼却施設と比べて、数十億円安く、運転経費も節約できます。21世紀のごみ処理の核として機能することになります。

 質疑の折、塩化ビニールの分別について、寄本先生より国分寺市の分別方式のお話しがあり、事務局長もすぐにでもいってみようとのことで、その他意見交換の場となり、5回が無事終了しました。

(文責:宮崎 啓子)

 

◆□◆使用済み乾電池の処理について◆□◆

講師:西原 幹男((財)東京市町村自治調査会)

日時:1995/12/1

場所:多摩交流センター

 

 多摩地域の各市町村の乾電池の収集状況について、27市4町1村の有害ごみの収集方法の一覧表を見ながら、多摩地域の実際をつかんでいきました。(一覧表省略)

 三多摩での乾電池の戸別収集は、三鷹市、狛江市、稲城市の3市です。他はステーション収集と常設ボックス収集になっています。

 市町村のごみの量もそれぞれの分野での集計表で人口と対比して見ることができます。有害ごみの収集回収、収集量は多摩地域全体で693t。収集したものの処理は多摩地域は1tあたり10万円(ドラム缶250kg4缶)で、北海道の野村興産イトムカ工業所に委託処理されています。しかしここでは、水銀除去のみが行われるだけで、亜鉛やマンガンの再利用はされていません。(集計表省略)

 電池の種類とともに、生産量の説明があります。水銀電池は平成7年度中に生産中止です。

■問題点

 亜鉛、マンガンなどの資源を再利用するためには、現在の技術では原鉱石から亜鉛を取り出す電力の3倍の電力が必要です。現在エネルギーを大量に使わない技術開発の研究が進められていると言われています。多摩地域で693t、都内23区で1000tと仮定すると、乾電池の再資源化施設を関東地域にもつことは可能なので、研究の成果がまたれます。

 ニカド電池のリサイクルや回収のシステムを有効に生かすためにも「蓄電池(充電式電池)は100%リサイクルできること」を消費者に周知徹底し、一般ごみや乾電池の中へ混ぜない注意も急がなくてはなりません。

(文責:河本 美代子)

 

◆□◆米国における家庭系有害廃棄物の管理動向を参考に日本をみる◆□◆

講師:和田 英樹(潟Iストランド主席研究員)

日時:1996/1/26

場所:多摩交流センター

 

 日本では、1980年より、水銀含有の乾電池や蛍光灯、大型耐久消費財などを適正処理困難な廃棄物として問題の掘り起こしとその対策が検討されました。

 アメリカでも、1986年ごろから、全国規模で家庭系廃棄物対策のキャンペーンに乗り出しています。

 環境を汚染する日用品が捨てられていること、埋立地浸水による環境汚染、焼却場からの大気汚染物質の排出、特に飲料水の50%近くを地下水に頼っていることから、こうした問題は切実なようです。

 家庭系有害廃棄物の割合は、家庭ごみの1%以下と考えるのが妥当で、ドイツでは0.1%、全有害廃棄物の0.5%が家庭系です。少量排出の有害物質には、廃棄に対する規制(RCRA)は適用されません。対策は有機物を含むような製品の製造中止が最もよいのですが、いろいろと障害も多いとされています。

(文責:河本 美代子)

 

◆□◆作ってみよう「乾電池テスター」◆□◆

講師:河本 美代子(三鷹市二葉会)

日時:1996/3/17

場所:三鷹市市民館

 

 家庭に電池はいくるあるでしょうか。電池を必要とする器具の多い家は必然的に多くなります。まちがって、新しい電池と古いものを混ぜて使ってしまい、どちらが新しくてどちらが古いのか分からなくなった経験もあるのではないでしょうか。そんな時、テスターはたいへん便利です。

 乾電池の残量によって、その乾電池を使用できる製品を区別することができます。残量がわずかになると、リモコンやフラッシュには向きませんが、ラジオなどの用途には使えるというわけです。

■テスターづくり

●久木野

 マッチ箱を横に2つならべたような大きさのテスターができあがりました。ハンダ、ハンダごてなど、見たことも触ったこともないような道具を使って、正味2時間かけての作品でした。随分と河本さんのお手をわずらわせてしまいました。若い世代の人は早めに作品を仕上げていて、若者には簡単で楽しい工作なのかもしれません。

 大・高・中・小学生を対象に、各市で“夏休み工作教室”など開くといいですね。

 しかし、このテスターの判定は厳しすぎるかもしれません。現在私の家で時計や種火用として使っている拾ってきた電池も、使用不可の位置にめもりがきてしまいます。で、結果は、テスター一家に一台!でも、不可となった電池も捨てないで!

●善家

 小学校の工作時間を思い出すような楽しい雰囲気のなかで作業は始まりました。長い間指導を続けてこられた河本さんははぎれ良く説明くださるのに、私はスムーズにいかない。何度もクラスメート?に手助けを受けながら、なんとか完成できました。

 谷戸沢にできるだけご迷惑をお掛けしないように、貴重な資源をリサイクルをするようにしなければなりません。心して、この手作りテスターを活用していこうと思います。

 蓄電池がいろいろな製品に使われるようになっています。ニカド蓄電池などは姿形が乾電池とよく似ているので、見分けにくくなっていますが、ニカド蓄電池にはすでに回収ルートがあります。消費者が使用済みのものを販売店にもって行き、その後、販売店が製造元に返却させるシステムです。

 しかし問題があります。1つは、販売店での回収が実際には行われていないことです。三鷹市にある家電製品やカメラの販売店で、蓄電池の回収ボックスを置いているのはたった2件だけ。

 2つめの問題は、消費者が蓄電地を普通の乾電池と混ぜて有害廃棄物として捨ててしまうことです。回収・再生ルートが一応あるのですから、貴重な資源を無駄にすることになります。また、ニカド蓄電池にはニッケルとカドミウムが含まれているため、アルカリ乾電池の水銀が“0”になり、水銀電池の製造がなくなったとはいえ、新たな問題が起きるのでないか心配です。

 さて、蓄電池は充電して何度も使えるので、乾電池に比べて値段は割高です。しかし、消費者が適切な使用方法をしないと、蓄電池の寿命も縮みそのメリットを生かせなくなります。

 このような問題は、情報不足と企業側責任不足、そして消費者の意識不足からきています。ここをクリアーしなければなりません。

(文責:山田 祥司)

 

◆□◆販売面から見た白色度のジレンマ◆□◆

講師:山田 登一郎(且叶取締役総括部長)

日時:1995/12/15

場所:多摩交流センター

 

●環境問題を「系」としてとらえることが必要です。

●「木を何本切らなかった」だけでは問題解決にはなりません。

●再生産を続ける貴重な自然資源「森」が「木」が再生産を続けられることが大切です。

●水と空気をどれだけ汚さずにすむか。土壌の健全性をどれだけ保てるか。「森」の生命連鎖を維持できるかを考えなければならず、植林したからいいということではありません。

●紙は農産物

●紙は木をほぐして作る農作物です。

●茶色より白色の方が衛星的なのか?もともとの木の色は何色ですか。茶色ですね。

●白さを求めないバージン紙ならよけいに木を切らずに済みます。

●白色紙は科学的工業製品です。農産物ではありません。

●白色度を上げようとすると、薬品添加量は上昇し、スラッジ(残さなどの廃棄物)が増加します。(非塗工紙の場合)リグニンを取ろうとするので大量のスラッジが発生します。

●行程減、薬品使用量減は製造上低コスト化すにつながるので製紙業界は白色度を抑えることを歓迎しています。

●再生紙か否かではなく、白いか否かが問題です。

●古紙には上級古紙ばかりではなく、中級・下級古紙、雑誌古紙もあります。しかも、こちらの量の方が多いのです。

●リグニン入りの紙は、白い紙に再生するのが難しい。そのため、白い紙ばかりでは古紙リサイクルは成立しません。

●製品の白色度と古紙の選別作業の難易度は深い関係であります。簡単にいえば、茶色の紙であれば選別が楽になります。

●古紙原料静脈産業サイドも、中級・下級古紙の活用は歓迎です。

●「便利で見た目がよい商品」は古紙リサイクル産業を苦しい立場に追い込むことになっています。

●白いリサイクル紙の生産は年々苦しくなっています。

●化学的インクの登場やポリマートナーの登場によって、再生処理行程が複雑になり、薬品の使用量も増えます。

●香りつき雑誌、FD(フロッピーディスク)のついた雑誌、感熱レシートペーパーなど、再生を困難にしているものが多くでまわるようになりました。もっとリサイクルのことを考えて作ってほしいものです。

●便利さ、見た目の良さの追求で地球は救えるのでしょうか

■成果と課題

 どうしてこんなにも“白い”方向に進んでいくのかを中心に意見が交わされました。

●紙を白くすることが、どれほど環境に負荷を与えているかを一人一人が認識していけるような情報を発信することが必要です。

●古紙の回収は「不用の紙を売る」ではなくて、「リサイクルするサービスを買う」と考えましょう

■提案

 古紙回収について、私たち市民側は「不用の紙を売る」ではなく「リサイクルするサービスを買う」と考えたいものです。すなわち、「回収業はサービス業」ということになりますね。

(文責:江尻 京子)

 

◆□◆製紙のまち富士市のリサイクル型まちづくり◆□◆

講師:渡辺 孝(富士市役所都市計画課)

日時:1996/2/24

場所:多摩交流センター

 

 ペーパースラッジ(PS)の発生。挫折行程からもれるような短繊維やインクなどの付着した繊維、および光沢化のために表面処理された粘土分は水処理の過程で汚泥として排出されます。

 低級板紙では発生量は少ないのですが、上級紙では3割程度発生します。

 PSは古紙の再利用にともなって発生します(バージンパルプではPSの発生量が極端に減少します)

■処理・処分状況

 ペーパースラッジ(含水率65%)を安定化・減量化するために焼却(900〜1000度)し、2割が焼却灰として残ります。これをペーパースラッジ灰(PS灰)と呼びます。

●PS灰利用方法

 特殊厚紙−テックス、プレスボート、パッキン、サンダルなどに漉き込む

 肥料原料−食品の残りなど有機物と混合し、堆肥化する

 ホーミング剤−溶解鉄の発砲現象を抑える

 セメント原料−乾燥PSうぃ原料として使用

 ペットトレイ−し紙尿処理製品(砂のかわり)

 PMF−NTTケーブル埋立工事シールド工法に使用(加泥材)

 土壌改良材−酸性土壌の改良

 焼却補助材−動物性残さなどに混入し焼却(焼却が容易になる)

●試行途中

 インターロッキングブロック(舗装材)、土木建築材料、コンクリート二次製品、RDF(固形形燃料)、陶器、石材、(高温焼成)、園芸用赤玉土

 富士市内で発生する産業廃棄物量は県下に発生する一般廃棄物総量に匹敵し、産業廃棄物の7割をPS灰が占めています。

 埋め立て量(91,542t/年)の全量を富士山麓に管理型の埋立処分をしています。

 しかし、近年埋め立て処分地の不足が問題になりつつあり、古紙リサイクルをこばむ要因のひとつになっています。

 富士市民は全国の“紙”の消費者にお願いしたいのです。

(1)「紙のリサイクルの環」を完結させたい。

 <古紙回収→再生紙利用>だけではリサイクルの環が完結したことにはなりません。<古紙回収→再生紙利用>の過程で、大量の副産物が生じます。PS、汚水、大気汚染物質などがそれにあたります。現在、PSは富士山麓に廃棄されています。PSをリサイクルの環にのせることにより、本当の意味でのリサイクルの環が完結したことになります。PSのリサイクルのためには、製紙企業・富士市だけでなく、紙を消費するすべての人の参加が不可欠です。

(2)リサイクルを考えた紙の使用

 必要以上の紙加工(コート紙など)は、リサイクル時に大量の副産物を生じさせています。リサイクルを考えた紙の使用が必要です。

(3)外部不経済部分の紙単価への付加

 紙生産は、周辺環境・付近住民に多大な負荷を与えています。水質汚濁、大気汚染、悪臭、騒音、景観悪化、交通渋滞、精神的豊かさの不足などです。これらの負荷には、本来業者の責任で対処すべきですが、現在まで十分になされていませんでした。

 中小製紙工場の経営状況が苦しく、設備の更新が困難です。そのため富士市民が税金で負担し、ガマンしているのが現状です。また、地球規模での環境負荷でもあるわけです。

■成果と課題

 出席者の多くは「ショッキングな話」と受け取りました。

 再生すればするほど、環境に負荷を与える現在の紙のリサイクル、首都圏の出す紙ごみによる富士市への負荷、単に紙をリサイクルするだけではなく、どんな紙を使うべきかを大きな視点で考え、これからの活動に生かしていきたいものです。

 

◆□◆雑誌でつくるトイレットペーパー◆□◆

講師:田中 公明((社)共働学舎)

日時:1996/3/22

場所:町田市小野路((社)共働学舎)

 

■トイレットペーパー

 月産8万個生産されるトイレットペーパーは、福祉施設や病院、国分寺市国会などで使われています。もっと、需要が広がらなければ、回収した雑誌すべてを使いきることは難しく、使用できなかった雑誌は古紙再生業者に引き取ってもらうことになります。

 雑誌を回収してほしいという話しは連日のようにありますが、回収した分だけのトイレットペーパーを引き取ってくれるところはなかなかありません。

 当初はシングル65m巻きのみを生産していましたが、最近では長巻や倍巻、芯なしなども作っています。回収した雑誌の中に白い紙のものが多いと白っぽいトイレットペーパーになりますが、無漂白なので大方はうっすら茶色がかった製品ができあがります。

■太陽光発電

 裏山を登って行くと、黒っぽく輝く太陽電池が見えてきます。この太陽光発電システムで発生した電力は、共働学舎の施設で照明などに使用。余った場合は東電に売電しています。これは、NEDO(新エネルギー・開発機構)との共同研究として設置したものです。

■缶のスクラップ

 町田市内や国会などから衣類や缶、びんを回収し、再生業者に渡しています。

(文責:江尻 京子)