◆□◆生ごみ減量対策part1〜小平市の事例から〜◆□◆
講師:田沢 照雄(小平市商工会)・藤原 哲重(小平市役所ごみ対策リサイクル推進係長)
日時:1995/3/4
場所:多摩交流センター
■小平商工会
ごみ処理は、行政がすべきことで自分たちから取り組むことではないという商工会の従来の考え方を転換した。商業活動の中から出たごみは社会的責任があるという認識を持ち、地域社会のためになることが出来ないのかと考え、婦人部を中心に2年前から資源回収や水切りネットの配布などに取り組み始めた。また、ごみ分野をビジネスとして考え、生ごみ処理の開発を商工会として取り組み、3種類を選定し実験している。
■小平市役所
平成元年から、ごみ問題を真剣に取り組み始めた。モデル地区をつくり分別収集を生活学校の消費者たちと取り組む。商店との協力は資源回収協力店制度や商店街モデル地区を指定し、飲食店を中心に水切り袋の使用促進、生ごみ処理機の導入をすすめる。
家庭用生ごみ処理機補助金制度(平成3年4月1日施行)
多様なメーカーの機種の比較対象を市役所で実験している。見学も可能
■今後の取り組み
1.商工会その他のごみ減量、リサイクル研究に補助金をつけ促進をうながしていきたい。2.飲食店、スーパー等のごみ処理機導入に補助金をつけ、発生源対策を促進させたい。
(担当:武 尚子)
◆□◆生ごみ堆肥化への取り組み〜EMぼかしをめぐって〜◆□◆
講師:中田 辰英(町田農協総務部長)・金子 忠夫(町田市企画課係長)・小林 三枝(TAMAエコロジーネットワーク)
日時:1995/3/18
場所:多摩交流センター
■町田市農協
都市型農業を基軸にすえた、善循環地域協同体をめざして、JA町田市として再生していきたい。
その一つの試みとしてEMぼかしとその販売に取り組む。1994年7月3日比嘉教授の講義会をきっかけにして、農協職員全員でぼかしづくりに取り組む。1995年2月までに容器4500ヶ、ぼかし2t(500g,200円)を販売した。畜産農家の臭気対策にEMぼかしを使用実験しているが、それによって、牛の食性があがり、軟便になるなどの効果がみえる。
■今後の取り組み
農協のメンバーでつくり、研究、実践を重ねていきたい。
■TAMAエコロジーネットワーク
EMぼかしを市民グループでつくり、生ごみを堆肥化し、市民農園で野菜づくりを実践している(モミガラ入りEMぼかし 400g,200円)。水切りを徹底するために、三角コーナーを流しから出して、古い電話帳の紙の上に置き、水分を紙に吸収させてから、生ごみを容器の中に入れる。むし器の中化入りを利用し、生ごみを入れるビニール袋の底にヨウジで穴をあけるなど、様々な工夫と実践を具体的に話し合って頂いた。朝日新聞の「ちょっと週末に」の行事欄をみてはじめて参加した市民の方が多かったので参考になった。
(担当:武 尚子)
◆□◆乾電池にみる有害ごみの問題と多摩地域自治体の取り組み◆□◆
講師:鈴木 和彦(東大和市生活環境部ごみ対策課)
日時:1995/2/18
場所:多摩交流センター
あいにくの冷たい雨の日で出席者がすくないのではと心配しましたが10名の出席で会を進めることができました。
資料と有害ごみを回収する赤袋を持って来て下さって、出席者全員がそれをいただきました。
有害ごみ乾電池の話しをする前に、まず、東大和市のごみ処理現状について説明されました。
東大和市人口76,153人 26,805世帯(S60年70,106人 22,204世帯)しかし、ごみの処理費は60年に比べて2倍の費用がかかる事、ごみ処理事業費市民1人あたり負担額11,409円、1世帯当たり3,1389円、ごみを少なくするため「有価物の中の70%、缶とびんは6年末には100%缶びんの回収をやろう」、ということで、平成6年3月収集体制全面的に改正したそうです。特に不燃ごみについては、平成4年度、5年度、6年度の収集量の比較表が示され、年々乾電池の収集量の増加しています。1人あたり、1世帯あたりの量も対比されていて、力を入れておられる市の姿勢が感じられました。また、7年度からトレーやペット容器も拠点回収を実施しているともことで、すでに12月からは庁舎内のストックヤードがあり、実施しているとのこと。
1時間の講義の後、ごみの出し方・収集について意見が出され、活発な意見が交わされました。お互いの情報を知ることは、収集のアイディアなどのヒントを受けることができて参考になりました。
(担当:河本 美代子)
◆□◆水銀なき後の乾電池問題〜各市の状況を話し合う〜◆□◆
講師:寄本 勝美(早稲田大学政経学部長、市民連邦議長)
日時:1995/3/15
場所:多摩交流センター
寄本勝美先生が中心となって、「有害ごみ」の連邦での学習の説明があり、前回の東大和市職員の話しを中心にして各地域(出席者)の有害ごみの現状把握から入った。
乾電池は日の出広域処分場とのとりきめもあり、27市町は回収している。しかし23区は回収をしていない。区によっては、区役所の中にボタン型・筒型乾電池などを細かく区分して分別回収しているが、区内全部で有害ごみとして集めているところはない。区レベルでは、ビン缶のリサイクルを業者と契約して行っているのが現状である。
「乾電池の回収量は?」というので、参加者の市の数字が出される。すべての材料を輸入に頼らず、再利用のシステム作りができていない乾電池を何とかして再資源化するにはどうすればよいのか。
1.(1)送ったときの重量の請求をこれだけ送ったと業界にまわす方法。(2)電気屋さんに回収箱を置き、製造元に戻す方法。例えば製品が届けられる月1〜2回の車を利用して戻りの車に積むなどして、流通システムを利用する。(この流通システムについて乾電池工業会専務理事から話しを聞く:電池の流通回路について)
2.デポジットの費用、品物の80%を製品費用、20%のデポジット費用とする。5円、10円、〜30円などいろいろ考え方はあるが検討してみる。
包装法改正問題、行政企業の取り組み、エコショップ・回収ボックスがどの位あるか、など話し合い、寄本先生のまとめで終了した。
新宿区のリサイクル課長と職員の方も出席して下さって、区の取り組みもうかがうことができた。また、実際にリサイクル業務に携わって下さる東雲の方も勉強会に出席して下さっているので現場の状況も良く分かった。
(担当:河本 美代子)
◆□◆再生紙使用拡大への新たな取り組み◆□◆
講師:西原 幹男(オフィス町内会事務局長)
日時:1995/2/4
場所:多摩交流センター
オフィス町内会事務局では、再生コピー用紙使用拡大を推進する目的として、学識経験者・マスメディア・行政・日本青年会議所・関連企業・ユーザーの方々に集まっていただきプロジェクトを組み、コピー用紙の「白色度=あたりまえの適度な白さ」についての啓蒙と意識改革による古紙リサイクルのアンケート(対象:一般社員・役員・顧客・役所など)調査を実施し取りまとめました。
1.再生コピー用紙は、すでにコストパフォーマンスにある白色度70%が妥当
↓
2.70%にすると、製紙メーカーは、既存の技術を活かせ→コストアップを回避→流通小売段階では、適切な利益率の確保→ユーザーには、低価格提供
↓
3.更に、リサイクルの当事者(製紙メーカー・流通小売業)が、市場経済の中での展開
↓
4.ユーザーの支持を得て、シェアの拡大
↓
5.古紙利細工の拡大、定着に貢献
このようなにメーカーにとっても消費者にとってもそれぞれメリットがあるという結論になりました。
再生紙に関しては、製紙メーカーと流通業界が、「利益の一致」をみることができるのですから「白色度70%」で「やれる!!」し、一層の拡大もできるという自信を持っています
現在、全国のJC(日本青年会議所)会員の皆さんの協力も得て「適度な白色度(70%)」の再生コピー用紙の使用拡大に活動を開始しています。どうぞ皆さんのところでも「こだわりの白さよりもリサイクル」という新たな発想でお取り組みいただきたいと思います。
(担当:古賀 トミ江)
◆□◆紙資源リサイクルの展望◆□◆
講師:根岸 完二(東京都立科学技術大学前学長)
日時:1995/3/4
場所:多摩交流センター
本日のテーマ「紙資源のリサイクルの展望」では、資料とスライドにより、世界の各国の紙消費量、生産量の説明と古紙の回収率・利用率では、日本は世界1位、そして韓国は回収率よりも利用率が上回り最優秀国である。その背景には、「日本には、負けない!」という意識が強いこと。また、スウェーデンは、環境に力を入れた生活をしている国であること。
続いて、平成6年度朝日新聞に連載されていた「現場の風景−リサイクル」より「再生紙」が出来る過程の記事、古紙回収率の向上策のあれこれの話がありました。
さらに、先生の大学教育の中での「輪廻転生の技術」−ゴミを出さないための素材づくりと再生技術の開発などについて、1時半にわたり熱弁をふるわれました。
講演後意見交換の場で、
1.びん業者の方、行政の方、市民の方、自由業の方などそれぞれの現場の苦労話。
2.何故、流れの良いリサイクルができないのだろうか?。
3.リサイクルの意識の強化は、何が決め手なのだろうか?。
という集約的な質問がありました。
そこでの参加者の大方の意見では、
1.人を動かすのは、やはり人間であり、リサイクルをすすめる上での各ポイントに、ハートの熱い人が1人いるかいないかだけで、大きく違うこと。
2.リサイクル事業など現場で働いている人たちが、市民への地道な啓発、PR活動を絶えず繰り返して行う勤勉さが大切であること。
3.製造−流通−消費−廃棄−リサイクルが、輪になって流れこそ、真の再生=資源化のリサイクルシステムが出来上がるのではないだろうか。
4.それには、大人はもとより今の子ども達の中で自分が使う物、使った物を自分(主体的に)で考えて選び、捨てるという環境教育が、家庭においても必要なのではないだろうか。
という参加者の意見集約がなされ、学習会を終了しました。
(担当:古賀 トミ江)
◆□◆リサイクル法が変わる?厚生省生活環境審議会答申をめぐって◆□◆
講師:寄本 勝美(早稲田大学政経学部長、市民連邦議長)・佐藤 亮(あき缶処理対策協会専務理事)
日時:1995/1/21
場所:早稲田大学政経学部第2会議室
まず、寄本先生より、国内外の包装廃棄物の現況について説明された後に、目標達成をある程度されている缶の問題について話されました。
特に、達成の指標となる全体の中のリサイクル率については、圧倒的に多い全体量そのものの問題が提示され、例えば、スチール缶のリサイクルされない残りの40%の処理について行政・企業などを含めたシステムについて国の方針、先生の考え方が話されました。
次にそのことについて、あき缶処理対策協会の専務理事てある佐藤氏から、熱っぽい反論がでました。大きくは、提示されているシステムを作る段階でプロが関わっていないこと。それによって、廃棄物処理、資源収集業界の端末にいたって実現不可能である現実があるとおいうことなどが次々と提示されました。「静脈産業」と呼ばれている企業体が健全に経営できないようなシステムは、身体に置き換えて、強い心臓になるためには、健全な静脈が重要な役割を果たすという言葉には説得力がありました。法改正などによって、義務化を生じても、運ぶ人がいない、運ぶ場所がない、流通単位をクリアーした製品のストックヤードがないなど、実現できなければ、製造業も破綻を来すというわけです。また、消費者の動向も、それらの問題を解決する上での例えば価格転嫁に応じて、安い輸入品の購買率が上昇し、国内企業の競争力が著しく低下するというのです。製品にしても、資源物にしても厳しい国際競争の上に立脚している以上、そのことを年頭におかないシステムは問題があるということになります。
両者の意見を受けて、後半は、参加者の質問や提案、新宿区(行政)の実践なども紹介されて、「何が問題なのか」「どうすればよいのか」という事柄について、積極的な意見が出されていました。その中で印象深かったことは、協会側の「こうすれば、出来る」という提案が、十分い伝わりきれていないのではないかということです。この日の参加者は、基本的には対立しているのではなく「どうにかしたい」という強い意思は、全く共通です。しかし、伝わりきれていないという現状が(両者にとって)結局は具体的なアクションを妨害しているということなのです。新宿区の実践については、協会側の具体的な提案もあり、寄本先生が終盤におっしゃった「さっそく、新宿区の方へ出向いて調整すればよいのでは?」という提案も出て、あらためて、連邦の役割の良さのひとつを感じさせられました。
(担当:三津石 源一・和田 和弘)
◆□◆三多摩の最終処分場をめぐる問題◆□◆
講師:藤原 寿和(廃棄物を考える市民の会)
日時:1995/3/11
場所:多摩交流センター
1.三多摩地域におけるごみの最終処分の現状
・一般廃棄物の最終処分量は、26万トン/年。そのうち焼却残渣は12万トン/年。破砕残渣は14万トン/年。
・S59年から一部事務組合「東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合」を設立し、日の出町谷戸沢の広域最終処分場で埋立処分されている。この処分場はH8年には満杯となる見込みのため、第二処分場の建設計画を進めている。
谷戸沢処分場の規模 総面積45.3ha 全体容量380万立方メートル
第二処分場計画の規模 総面積60.0ha 全体容量370万立方メートル
2.広域処分の問題点
・住民の無関心、無責任、人まかせ助長。
・持ち込まれる側の住民に不利益。
・各市町村のごみ処理方法が異なるためのトラブル。
・広域行政(一部事務組合)から情報が出ない。市民自治の空洞化。
・「最終処分」そのものの問題−自然破壊
・莫大な建設費、維持管理費、運搬経費等、財政問題。
3.「最終処分」から「保管管理」の発想へ−提案
・廃棄物100%資源−活用するもの、処分するものに分けて考える
参考;ドイツの「循環経済・廃棄物法」
・最終処分場は資源の保管場所
参考;スウェーデンの分別埋立管理
・資源としての保管管理
参考;デンマークの産廃「ホテル」構想
・広域処分からオンサイト(自地域内)管理へ
主な議論:
1.焼却−埋立て方式に対する発想の転換をむぐって意見交換
2.議論は、リサイクル法に発展。厚生省生活環境審議会答申の内容に関して質疑応答意見交換が熱心に行なわれた。
成果と課題:
1.集まりが少ない反面、参集者はなんらかの廃棄物関連の活動を熱心に行っている人達だけに、単に話を聞くということではなく、自分の経験から、あるいは直面する問題から発する意見が多く、お互いに有益な会合であったと思われる。
2.課題としては、来年度はじっくりと腰を据えて、なるべく多摩全域から洩れなく集まれるような配慮、手立てが必要と思われる。
(担当:三津石 源一)
◆□◆野木町見学会〜脱焼却、埋立のリサイクルシステム◆□◆
講師:金澤 豊(栃木県野木町)
日時:1995/2/22
場所:栃木県野木町役場
金沢町長の行政哲学「一流のいなかまち野木町」づくりの話しを含めて、ごみリサイクル施設の現状をあつかった後、町営資源化センター、健康センターを見学した。参加者一同、野木町政こそ、自治体ゴミ行政の模範モデルと感嘆しつつ視察を終えた。(視察の概要報告)
野木町は、栃木県の最南端にあって面積約3割が純農村地域の町で、ゴミの焼却施設・埋め立て処分地を持たず、燃えるゴミをすべて再生資源として再利用しているのが特徴である。
人口26,300人から排出される可燃ゴミは、年間4,200t、内1,000tの台所生ゴミは、町指定袋による週2回徹底した分別収集によって町営の資源化センターに運ばれ、そこで約70日間でほとんどが良質な有機肥料(堆肥)に再生され、町民に無料で還元されている。
また、生ゴミ以外の可燃物約3,200tは同じ日に別途収集され、同資源化センターの温水ボイラーの燃料として利用されるが、煙害を配慮して炭化利用しているのが注目される。
一方、不燃ゴミは、カン、ビンのみを専用コンテナで月1回町が収集して資源化している。その他の不燃ゴミ(化粧や食品類のビン、ガラス、瀬戸物類、金属、アルミホイル類、布団、毛布類など)は月2回町が収集して「広域圏南部事務組合」に委託処理しているが、有害の乾電池は別途回収缶を各学校や公民館などの公共施設に備えて収集する。
適正処理困難物や事業系ゴミ、粗大ゴミ、一時的な多量ゴミなどはすべて排出責任者に廃棄物処理業者を通じて処理する。自治会、町内会での集団資源回収を奨励するなど、清掃行政全般にわたっても学ぶべき点が多い。
(担当:渋谷 謙三)